高井戸で俳優・金橋良樹さんと裸の付き合いしちゃいました。

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— お二人の出会いのキッカケは何だったんですか?

増本 もともと金橋さんは板尾さんの高校の同級生なんですよ。

金橋 そうそう。2002年に、板尾と俺が“バンビ座”っていうユニットを組もうってなって、一回だけ役者四人でやる芝居をやってんけど、その稽古の時に板尾から「一人、客観的に見れる奴がおるから稽古場に呼んでいい?」って言われて、それで来たのが増本やってん。

— どんな印象でしたか?第一印象は。

金橋 最初怖かったなぁ。

増本 (意外そうに)へー。でも俺は緊張してただけですよ。吉本時代の大先輩の同級生で、この業界でも大先輩の方ですから。「俺は今日何しに来てるんや、見ろって言われたんや、ちゃんと見な」って。

金橋 アハハ。真面目やねんな。

増本 第一印象は僕も怖かったですよ。で、その日ご飯食べに行った時に、
金橋さんが鼻水ズルズルで。
「何でですか?」って聞いたら「鼻の中に女性の脱毛処理する泡を入れて鼻毛処理してる」って話を聞いておそろしい人やなーって。

金橋 アハハ。よう覚えてんな。

増本 でも、俺はその時に「この人、アホちゃうか」って思わずに「この人、役者やなぁ」って思ったんですよ。「この人、鼻の中までも見られようとしている」って……。

金橋 でも、今でもする時あるで、それは。

増本 ホンマですか?「役者やなー!」

金橋 たまにどうしても許せへん時があんねん。鼻の内側に、もの凄い鼻毛のゾーンがあって・・・・・・。

増本 わかります。すごいポケットがあるんですよね。

金橋 そうそう。鼻毛切る時、あのポケットは手強いやろ?

増本 切るって言うか、俺は抜きますけどね。

金橋 あ、そっち派?でも、手強いやん、あのポケットは。

増本 そうですね。あの手強さはわかります。

金橋 だから、そん時はもう綿棒に女性の脱毛クリームを塗って使うねん。そうすると、「まだこんなにあったんか」言うくらい取れんねんで。

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— あのう……。鼻毛の話はそれくらいにしていただいて……。それからのお二人のお付き合いについてお伺いしたいのですが?

増本 そうやなぁ。プライベートな付き合いが多かったですよね。ここ(美しの湯)に来たり、一緒に馬に乗りに行ったり、うちのホームパーティーに来てもらったり・・・・・・。

金橋 そうやな。

増本 何か知らんけど、金橋さんとは一緒に湯(温泉)に入っているイメージがあんのよ。

金橋 あー。馬乗りに行った時もそうやったもんな。板尾と増本と俺で風呂入りに行って。

増本 俺と板尾さんは結構マイペースと言うか……。で、金橋さんは洗い場で隣りに俺と板尾さんがおると思って髪の毛を洗いながらずっと喋ってて、でも俺と板尾さんはもうすでに露天風呂に行ってたりして、そこにおらんのに。

金橋 あれ、ホンマひどいよな。俺、大声で喋ってたら、返事が急になくなったから(洗い流して)見たらガラス戸越しに二人がおって。「何やねん、行くんやったら一言言えや」って思ったもん。
ま、その後すぐ俺も二人んとこ行くねんけど。

増本 そうそう。で、「俺な、今ずっと喋ってたで」って言うてましたね。

金橋 アハハ。

— お仕事でご一緒したことはなかったんですか?

増本 作品ではあるよ。『クロマティ高校』※1、『脱獄王』※2……。でも、それぞれのポジションが違うし、(役者としての共演も)絡みがないから、がっつり一緒にやったのは今回が初めてですよね。

金橋 そうやな。

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— 今回の作品で増本氏が金橋さんをキャスティングされた理由というのは?

増本 本人を目の前にして恥ずかしいねんけど、今回金橋さんにやってもらった役のキャスティングに関しては、その人のお芝居がどうだとかこの役はこの人に合うとかじゃなくて、僕が人間としてこの人のことを好きかどうかが重要だったんですよ。本を書いている時に思ったのが、この役は観てる人に愛されないと、この映画は成立しないということ。で、俺が好きな人って誰?って考えたら、真っ先に思い付いた。

金橋 (照れ笑いして)何や。告白されたみたいやな。

増本 何がどうって言葉ではうまく説明できないんだけど、僕が40年間生きてきて出会った人の中で3本の指に入るくらい好きやから。

金橋 ホンマ?

増本 ホンマですよ。ま、あとの二人を今は明かしませんけどね。

金橋 そこ、今、明かした方が信憑性出るんちゃうの?

増本 アハハ。

— で、実際現場で一緒にやってみて、どうだったんでしょう?

増本 あのね。本当に過酷な撮影現場だったんですよ。(金橋さんを見ながら)でも、好きな人がいたからのりきれた。

金橋 そんなに俺のこと好きやったん?今、初めて知った。

増本 いや、バレンタインデーに男が男にチョコをあげられるとしたら、俺は(金橋氏に)あげるね。

金橋 嬉しいわー。

増本 でもね。ホンマの話、今回金橋さんと初めて仕事をした現場のスタッフが、みんな「この人、何者なんですか?」って俺に聞いてきた。「ほらな、みんなも好きやろ?みんな、この人のこと好きになんねん」って嬉しくなった。だから俺はこの映画を観ていただくお客さんにも、自信をもって「どうですか?この人」って言える感じに仕上がったと思ってる。

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— 金橋さんは最初のオファーを受けた時にどう思われたのでしょう?

金橋 嬉しかったぁ。俺、『真一文字拳』(マイチモンジグー)※3を観て、その後増本に「俺を出してくれよ」って言うてんのよ。

増本 「ちなみに俺もこんなんあったら出るで」っていう言い方でしたけどね。

金橋 よう覚えてるなぁ。でも、『草々曲』※4も観てて、(増本氏の作品を)えぇ世界観やなぁって思ってて……。それに、増本が普段仲良くしている山口雄大監督を含め、色んな人との関係を見ると、増本ってすっごいえぇスクラム組んでるから「ちょっとそのスクラム入らせろや」っていう気持ちは何年も前からあってん、正直。板尾のお墨付きも付いとるし。

増本 へー。

金橋 俺、友達で監督って、今までにおれへんのよ。そういうつながりって初めてやったし。しかも増本なわけやん。そして直接(電話による)オファーなわけやん。そら嬉しいよね。だからもう、その電話がかかって来た時には喜び過ぎて。「増本ありがとう、やらしてくれ」って思ったその後に、言われた細かい日程が全部ポーンと飛んでしもて……。
正直、あの時のこと何も覚えてへんねん。

増本 全然ダメじゃないですか。

金橋 そうや。あとでえらい目会うたんやから。

増本 アハハ。

金橋 俺、たまにあんねん。「明日10時現場入り」って言われた時に「絶対遅れたらあかん、10時や10時!」と思って目覚ましを10時にセットする男やから。

増本 アホじゃないですか。

金橋 そやねん。アホやねん、俺。だから(増本作品に)「出れるぅ!」って思ったら、もうそれで頭とんでしもたんやな。

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— それでお二人は現場をご一緒したわけですが、俳優金橋さんから見た監督・増本氏というのはいかがでしたか?

金橋 やり易かった。うまく遠隔操作してきよんねん。俺が何に悩んでるかを既に察してくれてて、それで、「こっち行きましょ、あっち行きましょ」って、手綱を引いてくれる。だから安心してついて行けんねんな。

— 増本組の現場はどうでした?

金橋 みんな仲良かったよ。て言うか、増本が現場をまとめるのが上手いねん。とにかくうまいこと輪を作る。ホームパーティーやった時でも、増本は集まった人みんなを楽しませんねん。中には子供もおる、大人もおる、でもみんなが笑顔になって満足するやり方をすんねん。……現場でもそれは一緒やった。

— 現場をいい雰囲気にする……。今までも増本氏と一緒に仕事をされた方々は皆さんそう仰られますが、それは監督のこだわりでもあるんですよね?

増本 ま、増本組では怒鳴り声禁止やからね。

金橋 いや、監督としては絶対にこだわりがあんねんで。スケジュールも厳しいし現場は大変やねんけど、(増本氏は)それを感じさせへんねん。すごいと思った。ロケバスではアホなことばっかり言ってるくせに。

— ロケバスではアホなことばかり言ってたんですか?

金橋 うん。めっちゃ笑ってた。俺、声つぶしててんけど、(増本氏が)笑かすからめちゃくちゃ喋ってもうたもん。あんだけ苦しいけど、あんだけ寝てないけど、ロケバスで喋んねんな。

増本 何でなんですかね、あれ。移動中、みんな寝たらいいのに。喋りますよね。

金橋 普通監督ってさ、移動中は寝たり、考えたり、人を寄せ付けへんとかあるけど、(増本氏は)よう喋ってくる。

増本 だってそれは、(金橋さんのことが)好きやから。

金橋 アハハ。でも、だから変な緊張感がないな。(増本氏は)プレッシャー与えて来ぇへん。本まにやり易かった。

— 最後に、お二人の今年の目標を教えてください。

金橋 (10時入りの際に目覚ましを10時にかけてしまう、など)何か今日、話をしてても色々と自分のしっかりしてないエピソードが出て来たから……、今年はしっかりする!

増本 しっかりするって、今年何歳になるんですか?

金橋 今年で47。しっかりして、所属を決める!

増本 アハハ。じゃあ、俺の目標は……金橋さんの所属を決めてあげる!

金橋 言うたな? それ、絶対書いといてくれよ。証拠やからな。

増本 アハハ。


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※1クロマティ高校:2005年山口雄大監督映画『魁!! クロマティ高校THE★MOVIE』のこと。
増本氏は脚本・出演、金橋さんは出演をしている。


※2脱獄王:2010年板尾創路監督映画『板尾創路の脱獄王』の
こと。※1同様、増本氏は脚本・出演、金橋さんは出演をしている。

※3真一文字拳(マイチモンジグー):2009年「NEO ACTION
シリーズ」で増本氏が監督したカンフーとお笑いを融合させた
新感覚アクションムービー。

※4草々曲:2007年「YOSHIMOTO DIRECTOR'S 100」で、増本氏監督のハートフルショートムービー。


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本人不在トーク(増本氏にいなくなってもらいました)

増本庄一郎ってどんな人?

金橋
増本作品を何作か見てるけど、あいつ独特の世界があると思う。
笑いについては遊び所にすごくこだわるから、それが一見、大事なところを隠すようにもなる。
汚しをかけるのが好きやし、上手。
けど、逆にそれは「どんだけ隠しても大事なところは絶対ににじみ出てくる」という自信があって、
だからこそどんどん隠せるという確信を持ってやってるような気がする。
「どうせ出るんやから、出すより隠す方が余計見えたりするやん」って感じ。
それはそのまま人間増本庄一郎と言えるんちゃうかな。
作家やし監督やから絶対苦しんでると思うし、プレッシャーもすごいと思う。でも絶対にそれは出さない。
普段は人を楽しませて明るく振舞ってるけど、言いたいことはその奥にしまってこっちに言わない。
それによって大事なことを伝える。
ちょっとかっこえぇ。
本人にはなかなか直接は言われへんけど、俺もあいつのことが好きやってホンマに今回思ったよ。

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金橋良樹さんプロフィール

1963年、大阪府生まれ。A型。
宝田芸術学園卒業後、東宝ミュージカル出演を経て、
劇団GINGUIS FARM設立。

2004年劇団解散後も舞台・テレビドラマ等に多数出演。

近年の出演作品・ドラマ「不毛地帯」、「ホームレス中学生」
「ルームオブキング」、「ロスタイムライフ」
映画「魁!! クロマティ高校THE★MOVIE」(2005年)
「ぐるりのこと」(2008年)、「板尾創路の脱獄王」、「後ろから前から」(2010年)等。


美しの湯
高井戸駅前の天然温泉施設。露天風呂・ジャグジー・サウナ・温水プールを完備している。
泉質はナトリウムー塩化物強塩温泉(高張性・弱アルカリ性・温泉)であり、
神経症・関節痛などに効果がある。都内にいることを忘れ、湧出する大地の恵みに
悦びを感じられる都内有数の癒しスポットである。

住所・お問い合わせ
〒168-0071 東京都杉並区高井戸西2-3-45
TEL 03-3334-0008


■今回の駅「高井戸」

今回の駅「高井戸」
東京都杉並区高井戸西にある、京王電鉄・井の頭線の駅。


文:藤森俊介

高井戸で俳優・金橋良樹さんと裸の付き合いしちゃいました。

2010年02月26日