2010年02月07日

最初の記憶・・・③

 
 そのお兄ちゃんは、

 四歳の僕の体を抱き上げて、

 「大丈夫か!大丈夫か!」と、叫ぶばかり、

 本当は、事故ったら、すぐに動かしたら駄目だと思うけど。

 そのお兄ちゃんもテンパっていたんだと思います。

 僕も、

 痛みとか、その時の記憶が定かではないですが・・・

 たぶん

 アホやから。

 「うん、大丈夫・・・」とか言ったんだと思う。


 「お家どこや?」と、

 お兄ちゃんに言われるがまま、

 僕は、まだ、

 右とか左と言えないので、

 指で

 「こっち・・・」

 「この角をこっち・・・」

 とか言って、とにかく、

 そのお兄ちゃんに抱きかかえられたまま、

 家の方に・・・向かっていました。


 一方、

 アホ親父は・・・その頃。

 呑気にテレビを観ていたそうです。

 そして、

 親父の耳に・・・

 外の大雨の雨音が飛び込んで来たそうです。

 「ええ?いきなりやな~・・・庄一は傘持って行ってないがな…」

 「しゃーない、迎えに行くか・・・」

 って事で、

 自分の傘と、僕の子供用の傘を手に、

 外に出たそうです。


 ところが、

 外に出てみると・・・

 空は、星がいっぱい出ているほどの夜空。

「あれ?」

 確かに、親父の耳には、

 豪雨の音が聞こえていたらしいんですが。

 なんでしょう?

 虫の知らせ

 ってヤツでしょうか?

 とにかく、

 せっかく外に出たし・・・ついでに・・・

 ってことで、

 僕を迎えに行くか・・・と、歩きだしたそうです。


 「ついでに」って所が、面白いんですけど・・・


 一方、僕は、僕を跳ねたお兄ちゃんに抱えられながら、

 家の近所の公園の中にある、神社を通過中・・・

 相変わらず、「こっち・・・そんで、あっち・・・」

 と、

 神社の賽銭箱の前、

 遠くから歩いてくる人影・・・

 「あぁ・・・お父さんや・・・」


 そう、親父と会ったのは、これまた、

 ドラマチックなのか?

 偶然やと思いますが、

 神社の神殿の前、

 「え?あれ、ボクのお父さん?」

 「うん・・・・・・・・・・」


 残念ながら、ボクの記憶はそこで、カットアウトです。


 そのあと、聞いた話によると、

 そのお兄ちゃんが僕を抱えながら、親父に

 「すいません!車ではねてしまいまして…」

 と、言った瞬間、

 「なにさらしとんじゃ!」っと、

 お兄ちゃんを持っていた傘で殴ったそうです。

 って、

 ワシを抱えとるがな!

 「すぐに病院に運べ!」と、

 そのお兄ちゃんの車で、病院に直行したそうです。

 結果・・・

 鎖骨が折れていました。

 

 これが、私の人生を振り返って、

 憶えている、一番幼い時の記憶です。

 そのお兄ちゃんを

 傘で親父が殴った時に、思わず、俺を落としてしまって、

 その落ちどころが悪くて、

 骨折れたんちゃうんかな?っていう

 疑問は残りますが・・・・

 

 後日、警察に呼び出されて一番怒られたのは、

 いうまでもなく、

 うちの親父でした。

 

 今でも、私の左肩には、その時の手術の跡が、

 前と後ろに、二か所。

 くっきりと、

 残ってます。

 この傷を見ると・・・

 いつも、このことを思い出しては、


 ”こりゃ~・・・・
  とてもいい思い出だな~~”


 
 と、

 思ってしまう私は、

 しっかり、

 親父の血をついで、


 アホでしょ?


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